前髪が長くて前が見えない。 前どころか何もかも見えない、未来も見えない。 こんな歳までバンドを続けるなんて一昔前の自分には想像もつかなかった、 それどころか拠点を東京に移して、 好きなレーベルにたくさんお世話になるようなバンドになるなんてこれっぽっちも思っていなかった。 つい先日、春にリリースになるであろうCDのレコーディングを行った。 僕らは疾走感のある曲が多いから、ベースとドラムを同時に録る。 いわゆる一発録りという手法。 その方がサウンドに勢いがつくからなのだが、 その分、2人の息がぴったりと合わないと 何回も何回もテイクを重ねる必要になり時間がかかる。 ただ、前作もこの方法でレコーディングし、 順調に進んだので今回もこの録り方でのぞんだ。 東京でのレコーディングは今回で2度目だし、 担当のエンジニア様も前回と同じ青野さん(優しいオジサマ)だし、 不安は少しあったけどそこまで大きな心配はなかった。 なんとなく“やれる”っていう謎の自信があった。 結論からいう。ベードラ録りは予想の何倍も時間がかかってしまった。 たぶん今回において、 僕にとっての「譲れないポイント」が前作より増えたんだと思う。 こだわりとか、ここだけはきちんと聴かせたいってフレーズ・リフの応酬。 リズムって突き詰めれば突き詰めるほどボロが出てくる。 下手くそさが滲み出て浮き彫りになる。 特に某曲に関しては腕がつりそうになる位に何度も何度も弾きまくってしまった…。 乳酸溜まりまくりお化けと化した…。 昔もっと練習すればよかった…、って後悔ばっか。情けねえ。 練習は、努力は、嘘をつかねえです、はい。 何時間もかけて、2日にかけて、 なんとか目標の曲数を録り終え、 その日のうちに作業していただき上がってきたラフミックスを聴いた。 まるで生まれてきたばかりの我が子か!ってくらい、 1音1音で出来た音の波を愛おしく感じた。 まだ歌もウワモノギターもついていない音だけの状態なのに。 これからベースとドラムのみの音に、 ギターとボーカルが重なり、 生命を宿すかのように僕たちのリアルが産まれる。 嬉しい、楽しみ、楽しみにしてて。