僕たちは世界を変えることができない

ライブが出来ない日々が続いている。

この間、バイト終わって深夜、久しぶりにベースを触った。

別にいつだって弾こうと思えば家で弾けるんだけど、
ライブハウスやスタジオで鳴らしていた日々を思い出して
今の悲しい気持ちを増幅させてしまいそうな気がして、なんとなく弾いてなかった。

持ってみたら「こんなに弾きづらかったっけ?」って率直に思った。
あと思ってたより軽かった。座って弾いた。
座って弾くのは得意じゃないなと感じた。
多分、前に弾いたときにピックも弦も替えたばっかりだったようで、
予想よりもちゃんと鳴った。

弾き続けるにつれて指に馴染んでいくこの感じ、懐かしさ。
各曲のフレーズ、割としっかり覚えてた。
動かないところは歌を聴かせるようにジッと貫く。
そんで動くところは滑らかに動きガシガシ畳みかける。俺のフレーズだ。
安心して、適当にケースにしまった。
次このベースをいつになったら、
でっかいアンプに繋いで音を出せるのだろう、ステージ上で鳴らせるのだろうと、
心を落ち着かせながら寝た。


その日はなぜか『キムタクが親』っていう設定の夢をみた。
用事が済んで親に迎えに来てもらおうとLINEを開いた。

「そういえば俺、キムタクのLINE知らないじゃん」ってなって、

目が覚めて、

泣けてきた。





ライブハウス。

いつもの店長が、スタッフさんが、
「お疲れ~」とか「お疲れ様でーす」とか言って、
「今日はよろしくお願いします~」って階段降りながら話しかける。
笑顔で迎えてくれるから一気に緊張が解ける。

スピリチュアルラウンジの階段が好きだ

COLONYの入口のドアもワクワクするポヨね

新宿Marbleの階段も可愛くてスキぽよ


時に、店長さんがいつもよりこわばった表情だったりすると
「今日はやってやろう」って逆に気合入る。
どちらにしても自分自身を奮い立たせる。
自分にとって、その日1日にとって大事な一瞬だったりする。

ライブハウスのフロアに入ると対バン相手が既にリハをしてたりする。
よく対バンする仲間たちと顔を合わせると「元気~?」「最近どうよ~」とか言いながら世間話したり弦替えたり物販出したりタバコ吸ったりする。

はじめましての相手には「よろしくお願いします」って挨拶だけして、
その時は少し人見知り発揮しちゃったりするんだけど。

でもそのあと彼らのリハと本番を見て、
相手のスゲェところ見つけた時にはその話題を持って打ち上げで話しかける。
そしたら相手はニコッと表情が変わって、
「いやマイアミのことも前から知ってて!ここが~…」とか。
ふわっと話に花が咲きお酒も進む。
みんな音楽好きなんだな、バンド好きなんだな。

ライブハウスの酒は美味しい。
そして、また会おうと約束してその日を終える。
またライブハウスで会えた時には最高だ、ってことを俺たちは知っている。


マイアミを見るのが初めてのお客さんが
少しだけリズムに合わせて揺れたり、
真剣なまなざしでこっちを見てくると、いつにもまして熱が入る。
その人の何か足しに、というより何か琴線に触れて鳴ればいいと思いながら弾く、歌う。

いつも見てくれてるお客さんが声を上げてくれる。
一緒に歌ってくれたり、拳を上げてくれたりする。
はたまた後ろや脇の方でゆっくり見てくれたりすると安心する。
自分もライブを見る側の時はそうだったから、そんな姿に安心する。
自分の居場所に帰ってきたって気持ちになる。
「俺はここにいる」って感じられる。そして同時に「一緒にやろうぜ!」ってなる。




僕が初めてライブハウスに行ったのは高校の時。
バンド名は銀杏BOYZ、ライブハウスの名前は弘前Mag-net。
場所は段差になってるとこの最前。友達の成田君と一緒に見に行った。

お客さんが右に左にぶっ倒れそうなくらいのモッシュの嵐で、
みんな崩れ落ちそうなくらいの険しい顔してるんだけど、
それでもものすごい生命力を見ていて感じとれる。
そしてそれに応えるようにステージの真ん中で峯田が叫んでいた。
もしもでみんな声を荒げ、BABY BABYで拳を上げる。
駆け抜けてでぶっ壊れそうになって、
そして夢で逢えたらでみんな大合唱した。その一体感に感動した。


別の日、バンド名はHawaiian6、青森クォーターというライブハウス。
思い出深いライブハウス。場所は3列目くらい。後輩の横山君と一緒に見に行った。

1曲目からモッシュがやばい。
落ち着いたときにはもう意識朦朧。
だけど気づいたら最前にいて、そこからずっと拳突き上げてた。
当然ダイバーの足蹴りを食らいながら。
そしたら最後のアンコールが終わった後に
ベースのトオルちゃんが直接僕に手渡しで、使っていたピックをくれた。
込み上げてくるものがあった。
ライブハウスって最高だなってハッキリと感じた瞬間だった。

他にも忘れられないライブは山ほどある。
ライジング深夜、アーステントいっぱいいっぱいの
デッカいモッシュピットを作ったPOLYSICSのライブしかり。
ダイバーに肩貸して何度も発射台になったベッシーホールのノーザン19や、
武者震いが止まらなかったカウンターアクションのSHANKだったり。

ライブハウスでどんな体験をしたかなんて人それぞれだ。
自分はそんな感動や興奮がたくさんあってライブにのめりこんだ。
奇跡みたいな光景を何度も見てきた。

バンドを始めていなかったとしてもライブハウスには通ってたと思うが、
その光景を自分自身バンドを組んで、
自分たちのライブでも体現して体感したいと思ってしまった。



ライブハウス。
あの日とかあの日とかあの日とか、振り返ったら1日1日が等しくいとおしい。

オンライン配信でライブが見れるようになり、
投げ銭なんかも始まったりして、僕たちの周りの音楽が少しづつ変化を見せている。
今までなかった新しいことが始まっている。

だけど、おそらくライブハウスという文化は廃れない。
廃れさせない。廃れさせたくない。

なぜなら僕らは、
ライブハウスで生まれる感動を知っているから。知ってしまったから。

今は怖いかもしれないけど、
いずれきちんと終息した時にはみんなライブハウスに必ず戻ってくる。
あの時の感情や興奮をもう一度味わいたいから。


俺はライブハウスが好きだ。ライブが好きだ。

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