ありがとう

札幌の家を退去して12日ほどが経過した。
その間はもう死んだように生きていました。
毎日その日暮らしの生活。
不安に不安が積もるようなそんな感じ。



そうだ、その何日間かで一番心に残ったこと。
先日、某バンドのライブの運営スタッフのお仕事をいただいた時だ。


お昼14時。

会場に着く。
およそ8000人規模のアリーナ。広い。大きい。

スタッフジャンパーを貰い、仕事内容を聞く。

夕方17時。

開場時間にはすでに何千人ものファンが
会場の前で列を作っていた。
オープンと同時にファンの人たちはみな、
ウキウキした表情でチケットに書かれた指定席に向かっていた。


多くの人がその日を待ち望んでいたこと。
何千人もの人がそのバンドを待っていたという事実。
本当に羨ましかった。

もちろんその光景だって僕の心に響いたが、
本当に心に残ったことはもう1つあって。


夜21時。

お客さんが全員帰り、
会場内は天井に常設された明るい蛍光灯に照らされていた。
明るくなったホールはなんでもない、
よくある学校の体育館のような雰囲気があった。

スタッフ総勢およそ200名ほどで一気にバラしが始まる。
僕もその撤去作業に参加した。

非常に大変だった。
みんな汗だくで動き、
そして寒空の下やってくる大型トラックの荷台にドンドン機材を積み込む。
1人では抱えることができないような大きな機材に苦戦し、
こまごまとした小さな機材の量に戸惑った。


深夜3時。


使われていた照明・舞台などが全て片付け終わった。
このぐらいの規模のアリーナだったからこの時間で終わったけど、
これがドーム規模の会場だったらとイメージするととても恐ろしかった。


空っぽになったアリーナ。
ライブ1本のためにこれだけの人が汗水流すんだと知った。

今日出演していた某バンドは僕たち200人のことなどもちろん知らない。
顔も名前も知らない。
会話はもちろん、挨拶も一言も交わしていないからさ。

彼らは僕らの顔を見ず、
多分今頃ホテルのベッドに横になっているか、
まだ夜のすすきのを歩いているかもしれない。

僕らもまた、彼らの顔を見ずに
1日ただただ目の前にある業務をこなしこれから、
終電のない深夜3時にタクシーで家に帰ろうとしている。


これって凄く当たり前のことなのかもしれない。
彼らだってここまでの道のりでたくさんの犠牲を払い、
今があるのだから。

僕だって別に誰かに感謝されたくてその場にいたんじゃない。
たまたまお仕事をいただいて、
ただただお金を稼ぎたくていったんだ。



僕も演者としてステージに上る。
この仕事をこのタイミングで務めることができてよかった。
知ることができてよかったと思った。


どんなイベントであれ、
どんあ会場であれ、
どんな規模であれ、

僕らがステージ上で照明に照らされている上には、
必ず誰かの協力が伴っていること。
何かを犠牲にして僕らのライブを作り上げてくれていること。



身を持って知ることができました。
いつもいつも本当にありがとうございます。
どんなに大きくなっても、
一生心に留めておきたい感情が生まれた日でした。

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